11月16日からインフルとコロナの同時流行に備えた外来診療体制の運用開始となりました。
今回、①他県に比べて「診察・検査医療機関」の「指定」数が少ない理由と、②まずは電話を。「発熱患者等の相談・診療・検査の流れ」を取り上げます。
1 他県に比べて「診察・検査医療機関」の「指定」数が少ない理由
現場に確認してみました。
県の「指定」を受けているのは346か所となりますが、対応医療機関は819か所となっています。
ピーク時の対応医療機関は、1100か所を見込んでいます。
この中には「指定」された「診察・検査医療機関」が含まれます。
他県に比べると「指定」の数が少ないようですが、結論から言えば、発熱患者に実際に対応していただける医療機関(対応医療機関)が一番の肝となります。
「指定」について補足します。
まず、『千葉の「指定」 = 国が示す条件整備が出来る医療機関』
となっています。
この「指定」により、国から直接、補助金の支給を受けることができます(メリット)。手袋・マスクなども全部支給されます(メリット)。
一方で、当然、国が定める条件に応じなければなりません(負担)。
具体的に掘り下げます。
「指定」による補助金は、体制確保の経費としてのもので、実際に発熱患者が来なかった場合に支払われます(添付資料を参照)。
当然、実際に発熱患者が来る場合の方が、経営面でよりプラスとなる金額設定となっているそうです。
この補助金の支給を受けるためには、「診療・検査医療機関」は、1日7時間・上限20人を上限として「診療・検査対応時間」を設定しなければなりません(負担)。
そして、専属のための「発熱患者等専用の診察室 (時間的・空間的分離を行い、プレハブ・簡易テント・駐車場等で診療する場合を含む)を設けている」必要があります(負担)。
そして、設定した時間と診療室に、発熱患者が来なかったとしても、医者が一人は張り付いていなければなりません(負担)。
発熱患者が来なかった場合の補助金は、前述の一日7時間・上限20人で設定されていますが、現場では、その金額では採算がとれないと評価しているそうです。
これに加えて、「自院のかかりつけ患者や、自院に相談のあった患者のみを受け入れる場合は、基準患者数の1日あたりの上限は5人」とされています。
そうなると、「自院のかかりつけ患者」だけを考えている診療所などは、補助金の面で、1日あたりの上限が5人までとされますので、その中で、「専用の診察室」の確保をし、設定した時間は医師の専属が求められます。
発熱患者以外は診れないことになりますので、これは大きな制約になります。
次のような事務負担も生じます。
「指定」期間中は、国から、「新型コロナウイルス感染症医療機関等情報支援システム(G-MIS)」と「新型コロナウイルス感染症等情報把握・管理システム(HER-SYS)」への情報入力が求められます(負担)。
特に、診療所などでは、慣れるまでは後者の負担が懸念となっているようです。
なお、やむを得ず紙媒体による情報提供だったとしても、県は柔軟に応じる姿勢を示しています。
国から補助金の支給を受けるための事務も煩雑なようです(負担)。
ここは支給する側である国の求めなので致し方ないようにも思えます。
このようなことから、あえて「指定」を希望しない(保留する)医療機関が相当数あるようです。
特に、かかりつけ患者だけの対応を考えている、いわゆる町医者の方の多くがこれにあたるようです。
「指定」は受ける側にとって、メリットや負担の捉え方や理解に差が出るものとなっています。
そして、今は比較的、発熱患者が少ない時期のようです。
そのため、先の採算や負担を考えて、あえて様子見の選択をしている診療所が多くあるそうです。
この辺りは、県は医師会等関係者と、しっかり共有できているとのことです。
そこで、県は、医療機関の希望に沿って、後からでも随時「指定」をするように柔軟な運用することにしています。
ちなみに、「指定」を受けた機関は、診察室が3つ以上、駐車場15台以上など、ある程度の規模を有する特徴が見られるそうです。
また、他県の指定は、『千葉の「指定」 = 国が示す条件整備が出来る医療機関』と、少し違う部分があるのではないかと捉えているようです。
正直、今回は県からもっと積極的な発信が欲しいなと思いました。
細かい話かもしれませんが、県民の皆様に対し、丁寧に説明すべきだろうと思いました。
マスコミへの記者会見など、先行して発信する機会はありましたので。
そもそも、この「指定」の話とは別に、内科や小児科の看板を掲げる以上は、発熱患者には対応しないという選択肢は難しいのではないかと思います(応召義務との関係でも)。
今後、「指定」の数は増えていくと思われますが、実際に対応できる「対応医療機関」を着実に確保し、「「対応医療機関」としての役割を果たしてもらうための支援(「指定」を受けていない場合でも)をしっかり行っていくことが肝要です。
そのために、県当局は、関係者と引き続き密に連携を取って、この冬に臨んでいだきたいです。
2まずは電話。「発熱患者等の相談・診療・検査の流れ」
感染予防と混乱回避の観点から、まずは、①身近な医療機関に「電話相談」をしていただかなければなりません。
かかりつけ医がいないなど困った場合は、②「相談先」に連絡していただきます(県庁ホームページで公開されます)。
https://www.pref.chiba.lg.jp/kenfuku/kansenshou/corona-soudan.html
懸念事項としては、いきなり診療所等に来られることです。
電話が繋がらない(これが一番心配)、電話からという流れを知らない、症状が重いなどの理由が想定されます。
当然、「電話相談」「相談先」の対応力の確保と運用中のフォローが必須になりますので、しっかりと注視してまいります。